新梨子油力発電所

新梨子(しんなし)発電所は足尾銅山関連施設。重油を燃料とする発電所で、非常用電力供給設備として大正4年に建設された。当時としては国内最大規模の出力を誇った。
昔は空襲で被弾しないよう、壁に迷彩塗装が施されていた。今でもうっすら見える。
この窓の輝きは、遠目からも確認できていた。次第に高まる鼓動。 
わぁ…思わずため息。天井が高いぞ。
重厚な鎖がぶらーん。無機質な鉄骨が鳥居のように残る。
用途不明のレール。今はここの廃墟美に欠かせないレギュラー選手。胸を張ってほしい。
頭上に大きな穴。ドカッと光が入るアクセントだ。
ぼろぼろのカーテン。長い時間を感じさせる。実はこの静かな廃墟に、年に一度、孫が来る。否、孫がいる。
小さな愛らしい山車だ。毎年春に町内会でお祭りがあり、大活躍するのだ。常に咲き誇る桜で着飾った姿は、この廃の世界に於いて紅一点。
ウキウキ…今から春を心待ちにしている。
隣接する通洞動力所へ行こう。窓越しに崩壊が見てとれる。2011年の夏に半壊、その後も更に倒壊が進んでいる危険地帯だ。
あと何度、厳しい足尾の冬を越せるだろう。
さらに奧へゆく。左手の奥に誰かいるぞ。コントで頭にタライ落としたみたいになってる。

スネ夫だ。
番号の振られた棚。鎖の錆び具合が長い時間を感じさせる。
この窓も、煉瓦も、壁に懸命に張りつく棚も、いずれ無に帰す。
まるでここは、座して死を待つ侍のよう。廃墟探索は時に大きな危険を伴う。自制心と探求心がせめぎ合う一日だった。

Departure

気軽に廃墟を堪能できるサイトです。簡潔、かつ読み応えのある構成を心がけます。宜しくお願いします。

0コメント

  • 1000 / 1000