摺子発電所(前編)

バスフィッシングで有名な七色貯水池。ここに、湖に沈んだ発電所の廃墟が存在する。
日本には古来から八百万の神様がいると言うが、どうやら本当らしい。
ボート上に這いつくばって、頭を屈めて入る。ここは神聖な場所だった。
廃墟の神に手招きされて。
うわぁぁぁ…、なんてことだ。
水面がきらきらして、照り返しが眩しい。
水面のエメラルドに、上質な白壁をどう組み合わせるか。今日の太陽は本気だ。
頭上にまるい穴。発電所の用途を終えた今、神様が出入りする場所となった。
なんか、顔がクシャクシャしてきた。
隣にも広いスペース。
うっすら見える階段は水の神様しか使えない。
自称船着き場に戻る。ロープで繋いでいるが、万が一の場合は泳いで帰るしかない。

少し頑張って撮った一枚。
さっき見下ろしたスペースに到着。
奥では草木が芽吹いていた。
まるで、船で航海しているような気分。
窓枠は残る。景色は変わる。

後で知ったがここは三階らしい。
今立っている場所は相当に高所なのだ。
波の立たない四角い湖面をそっと覗くと…。
神様は絵がお上手。

絵を褒められた神様が
もう一枚
描いてくれた

この一枚は宝物だ。
さぁ、出航だ。
廃墟、水、太陽…いろんな神様に見送られながら発電所を後にした。山肌を夕日が美しく染め上げる。冬なのに日焼けするとは思わなかった。しばらくは惚け顔だ。

Departure

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