町外れの集落に残る廃医院。標本という名前を聞いた時、何かの標本が沢山あるのかと思ったがとんでもない。
建物の造りが楽器のように美しく、木目から気品さえも感じる、まるで廃醫院の標本のような場所だった。
開業は明治の末期と聞いている。
外観も洒落ていた。天井照明の装飾だってこんなに素敵。
木には暖かみがある。芳香が漂ってきそうだ。
先生の鞄だろうか。ここの先生は元々は外科医であったが、田舎の村医者ともなれば何でも診なければならず、大変苦労されたと聞いている。
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ここの真骨頂は何といっても手術室。
完全木造の手術室。タイルを使っていない。
見上げると大変珍しいものがある。
換気塔だ。これがある手術室は初めて見た。
当時、木の板はどのように開閉したのだろう。暫く見上げる。
視線を戻すと、室内がちゃぶ台返しの後のようになっていることに気付いた。でも、ずっと前からこの状態なのだ。
骨?
薬瓶。
この部屋の備品たちは、ずっと昔からここにあるのだろう。
歴史的な文化に触れている。目の前の一つ一つに敬意を感じる。
手術台は隣の部屋に移されていた。
手術道具や箱物の薬品を入れておくケビント棚。キャビネットが訛ってついた名前だという。
医院の周囲はとても静かだ。
地域は過疎化が進んだせいか、人々の気配が全く感じられない。この止まったままの掛け時計が再び動き出す日はあるのだろうか。
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