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純白医院(解体済み)

夢の中に出てきそうな、純白の建築があらわれた。外の白壁には緑の蔦が這う。ため息が出るほどに美しい。


正面の扉は

うっすらと開いていた。

今度は息が止まりそうになった。

ここは大正建築だろうか。受付の小さな小窓に映る大窓。

外は秋晴れ。太陽はもちろんご機嫌だ。



この部屋には一脚の椅子が残されていた。

彼は真っ直ぐな心を持った青年だ。どうやらデートの待ち合わせらしい。

ちょうど

ガールフレンドも到着したようだ♪

隣の部屋から登場だ。フリフリのお洋服を着て、ばっちりおめかしをしている。

人間がいるせいで時が止まっているのだ。ちょうど出会った瞬間だったらしい。

なんとも微笑ましい光景ではないか。これから楽しい一日が始まる。お邪魔者は、そっと次の場所へ…

淡い白壁だ。しずしずと、上の階へ。

幻想的な世界が広がっていた。

光が織り成す芸術。ここではカーテンがアーティストだ。

よく目を凝らすと、照明器具から赤いペンギンさんが垂れ下がっている。唯一、当時の生活を感じさせるもの。

やわらかな光が差し込む部屋。静かな時間が流れていた。

もう戻ってこない主を、今も待ち続けているのかな。

確かにここは病院で、地域の医療を一手に担っていた。でも…人が去った建物には、人知を越えた超然たる何かが宿ると感じられてならないのだ。

2024年、解体の報を聞く。

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コメント

コメント一覧 (1件)

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