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森の廃洋館

崩壊しつつある廃洋館。石造りの立派な建築物で、金融業を営む富豪の所有物であったらしい。生い茂った木々がその存在を隠し、静かに着実に朽ちつつある。

周囲は高い堀に囲まれていた。

情報は少ない。興奮を抑えるべく、一つ深呼吸。

入り口がアーチを描いている。惚れ惚れする佇まいだ。

屋内は暗く、天井の崩壊が見て取れる。

落ちているものがハイカラ。

残留物は少ないが凄くドキドキしている。もう物語は始まっているのだ。

踏み抜きに気を付けつつ、巡る。

個室だ。当時は様々な調度品に囲まれていたのだろう。

二階へ行ってみよう。

石造りの丸窓が魅惑的。

二階は床がだいぶ崩壊しており進めない。

建物自体は広くないが、濃厚な時間を味わっている。この後、さらに出会いが待っていた。

石造りの裸婦像だ。

暗くてよく見えないのが、かえって妖艶な雰囲気を漂わせている。

軽くライトを灯すと黒い影が蠢く。妙にリアルでドキッとした。

家にあったら落ち着かないなぁ…(笑)

さらに奥へ。

大きな大きな鏡が立て掛けてあった。

ふと鏡の足元に気配。訪問者に驚き蛇がニョロニョロと逃げていった。

きっと様々なものを映してきた鏡。くすんで、もう何も映らない。

人の営みのはかなさを思う。沈黙を続ける廃墟と無言の交流である。

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