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川の対岸から草の海に沈んだ校舎がうっすら見える。
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崖のような急斜面の先。
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インパクト抜群の金藤小学校。創立は昭和16年。昭和48年に統合により閉校となり、32年の歴史に幕を閉じた。
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ここは昔、作家のサトウハチローさんから学校に詩を書いた手紙が届いたという。今となっては貴重で価値もあるそうだが、未だに見つかっていないという逸話もある。
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本来の通路もうっすら残っているが。
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藪こぎで回り込んでなんとか到着だ。
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水のあじ with 恐い顔~!!
↓
慎重に
↓
校舎へ
↓
入る…
↓
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!!!
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衝撃的な光景が広がった。迫り来る倒壊を背に、静かに椅子は本のページを繰り続けている。
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本格的な倒壊は数年前から始まったそうだ。近いうちに、この場所も無に帰すだろう。
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椅子は沈黙している。運命の時が訪れるまで、これからも訪問者に無言のメッセージを送り続けている。
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そっと隣の教室へ…。
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この校舎は複式学級で、1.2年、3.4年、5.6年と三部屋あったそうだ。閉校式の際に仕切りを取ったので、大部屋一つのような跡となっている。
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閉校の年の生徒人数は18名だったという。
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生徒達は、そろそろ還暦を迎える年頃だろうか。右手に階段が見える。
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二階は教員室と聞く。木造の階段は本当に危険だ。あの外観を見た後…とても進めなかった。
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一階は幼稚園で数名の児童を預かっていたという。小学校が保育を兼ねていたのだ。きっと子どもたち同士の交流もあったろう。
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もう少し探索しよう。
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竹藪をかき分け、建物の奥へゆく。
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教室を覗く。迫り来る天井、机達が身を寄せ合っている。
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この校舎に給食室は無い。川を隔てた対岸から、ロープで送ってもらっていたそうだ。その辺の話は後程…
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校舎裏には小さな広場があった。右手に見える建物は廁である。
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この広場で運動会も行われたという。小さな小さなスペース。でも、子ども達にとっては最高の一日になったに違いない。
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この校舎に通ったのは山側に住んでいる子どもたちと、川の対岸に住んでいる子どもたちだった。山の子どもたちは遠い子は片道40分かけて通学したという。
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対岸の子どもたちは、学校のすぐ前を流れる銅山川に石を投げ込んで、その石を伝って通学したという。ここではそれを「石ころ橋」と呼んだ。
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雨の強い日は教師は川を渡れず、対岸の学校にいる生徒たちに自習を呼び掛け、40分かけて遠回りして学校に行ったという。
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色々とお話をして下さったのは近隣に住む、当時の先生でした。他にも様々なお話をして下さりありがとうございました。お土産まで頂いて嬉しかったです(^-^)
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