
湯ヶ滝集落は千葉県君津市にあった集落。1966年までに全戸離村したが、その後一棟のみ民間へ貸し出され1980年代まで居住者がいたという。その住居が今も残っている。

この階段を降りた先…。

美しい川が流れていた。

清澄な空気は廃村巡りの醍醐味。この川を越えて、山道を30分ほど辿った先に集落はある。

橋の支柱の跡。橋は流されてしまい、今は自力で渡河するしかない。
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ウォーターシューズを通しても、冬の水の冷たさはじんわりと足に残る。さぁ、登るぞ。



足場はそんなに悪くないが、倒木が多く何度もくぐったり飛び越えたり迂回したり忙しい。

おっ。

運搬車の一部。木材などを運んだのだろうか。


さらに進む。

木々が日光を遮り、森の中は若干暗い。

切り通しのような道を通り抜け…

左側の崖への転落に注意しつつ進み…

谷を迂回するような形で歩いていく。犬のような動物が駆けて行くのを二度見た。驚かせて申し訳ない。

石垣だ。人が住んでいた証拠、近いぞ。

リヤカー。

冷蔵庫。

見えてきた〜!

日本昔話に出てきそうな森の中の一軒家だ。人が住んでいたら、きっと山姥に違いない。

今は麗らかな昼下がり。長閑な空気と時間が流れている。

周囲には当時の生活の跡。

サントリー。見かけないマークだ。

ホンダのバイク。

そしてこちら、光風自転車。今は存在しないメーカー。カッコいい写真を撮りたかったが10年遅かったみたい。

家屋は堅牢であと半世紀は保ちそうだ。

周囲を巡る。



と思ったが、近くで見るとだいぶ老朽化は進んでいた。


無造作に残された箒。暇を持て余している。

広々とした間取り。古い古い日本家屋の造りだ。

枡が二つ。奥には暖房器具。

ナイフじゃ。山姥じゃ。

お風呂だろうか。だとしたら、もの凄く狭い。

1972年製造の冷蔵庫。醤油が残っている。たぶん飲んだら死ねる。


特にこれという残留物は無さそうだが…

将棋盤だ。盤面の線も薄っすらと残っている。人々の息遣いを少しだけ感じられたような気がした。

廃村の魅力をここ数年で強く感じるようになった。今は誰も居ないこの場所に人々の生活は確かにあったのだ。便利な都会に住んでいても、何もない山が無性に恋しくなるのは、人間の本能も働いているのかも知れない。

周囲を散策するとお墓も残っていた。軽く手を合わせ下山の途につく。
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