
竹林に包まれるように伝説の建物は残っていた。

障子がひしゃげている。建物全体がもはや老翁の域。

古い電話と箒。長い長い時を感じさせる。

畳も自然に還る。

左手の部屋では竹が床を突き抜けていた。

竹の生命力には度々驚かされる。


これに会いに来たんだ。


左右対称で硬質な貝殻は薬の保管に適していたという。

百味(ひゃくみ)箪笥。

薬屋や漢方医が漢方薬等を保管するために用いた箪笥で、引き出しが多数ついているので、この名前がついた。

江戸時代のものと言われている。残っているのは奇跡以外の何ものでもない。


建物自体の崩壊がもう始まっている。なんとか救い出せないものか。


物凄く古いドリンクスもあった。飲んだらたぶん死ねる。



極上の空間。当時の空気が滞留している。

まさに廃墟探訪はタイムトラベル。ここは本当に思い知らされた。
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