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武智丸は第二次世界大戦中の昭和19年に建造された大日本帝国海軍所属の貨物船だ。現在はこのように防波堤となっている。
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目を凝らすと「水の守り神武智丸」の看板が見える。物騒な時代を経て、人々の生活の守り神となったのだ。経緯を解き明かして行こう。
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まずは石で出来ていることが驚き。当時は鋼材不足であり、苦肉の策でコンクリートで建造されたのだという。
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同型船は四隻建造された。一隻は戦時中に触雷して沈没。もう一隻は台風で座礁し廃船となった。戦後に残った二隻も、一隻はエンジン故障で放置され、もう一隻は商船として使用されていたがお役御免となった。
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緑の苔がうっすら残る。
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この船は輸送船だった。この四角い大穴もその用途で使われたのだろう。
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中へ入ってみよう。
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なんだか要塞みたいだ。おそらく、ここにはエンジンなどの機関があったのだろう。
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丸い舷窓が船であったことを偲ばせる。
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半世紀前は大海原を旅していたのだ。
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舳先までやってきた。船自体はそんなに大きくない。
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錨を下ろす場所だろうか。満面の水を湛えている。
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いつか、天気の良い日に再訪したいものだ。
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中央は生け簀のよう。
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落ちたらかなり危ないぞ。
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何度も丸窓を覗き込む。鳥がすれ違った。
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本来ならばもうこの世に無かったかも知れないこの二隻の船。なぜ残されることになったのか。
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ここ安浦漁港には堤防がなく台風のつど漁船に被害が発生し、人々の悩みの種であった。
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そこで、な、なんと二隻の武智丸を防波堤として据え付けることにしたのだという!!二隻の払い下げを受け、安浦の防波堤として完成したのは、1950年2月のことだった。
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利活用として素晴らしい取り組みだ。
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コンクリートたちも嬉しそうだ。
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昭和48年には漁港整備計画で撤去の話も持ち上がったが、船が強固なため保持し引き続いて防波堤の役目を果たしているという。
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がんばれ武智丸。また応援に来るぞ。
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