1969年に完成した鉄筋コンクリート4階建てアパート。鉱山で働く鉱夫たちの家族のために建てられたという。
しかし翌年に突然閉山となり、アパートが使われたのは一年あまりだったらしい。
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‥熊!!
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と思ったら兎のぬいぐるみだった。君はいつからここにいるのかな?
この辺りは熊出没地帯だ。携帯の電波も通じない。気を引き締めて行こう。
地面がぬかるんでいる。天気のせいではなく、一帯が湿地帯なのだ。
コンクリートアパートといえば松尾鉱山。それを彷彿させる立派な作り。
振り返る。全部で4棟あり、水洗トイレが完備された2DKの部屋が96戸あるという。
家賃、電気水道代、燃料費は会社負担であったらしいから、当時の羽振りの良さが伺える。
建物はちょうどアルファベットの「L」のように並んでいた。
「69R-3」のプレートが残っている。
当時は物干し竿をかけたり、子どもが手を振ったり、そんな光景が見られたのだろう。
奥まで進んだので、踵を返す。
ど真ん中に白い便器が佇んでいた。お散歩中だろうか。ここは滅多に人は来ないもの。
閉鎖的な空間に、熊鈴の音が響き渡る。
当時の住人も、ここからの風景を眺めたのだろう。
すっからかんの部屋。全力で全棟を隈なく探索したら何か見つかるのだろうか。
4階の窓からの眺め。当時と景色は違えど、ちょっとしたタイムスリップ。
一年しか使われなかった重厚なコンクリートアパート。今宵も静かな夜を迎える。満天の星空が容易に想像できる。そんな場所だった。
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