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1940~1964年まで稼働していた水力発電所。役目を終えた後も旧施設は撤去されず、サージタンクや圧力水路の遺構のほか、発電所本体建屋が残されている。
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渡河をするルートもあるようだが、吊り橋を使うことに。落ちたら流されはしないけど、多少の怪我はするだろう。
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油断すると転げ落ちそうな急斜面を登り切った。途中小さな蝮にも会った。そして、この辺りは熊出没地帯でもあるので相応の準備と心構えが必要なのだ。
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それでは入ろう…。
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なんだこれは。
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衝撃的。言葉が出ない。
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深過ぎて、底が見えない。
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暗闇の底から悪魔が手招きをしているようにも感じる。
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中央に行けそうだ。
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本当に底が見えない。深い。
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降りてみよう。
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測りが階段の横に添えられている。
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何mあるのか、ドキドキで感覚が麻痺状態だ。因みに最後は梯子が曲がっていた…。
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着地に成功。これはサージタンクという超巨大タンクだった。ここから水を放出する勢いで、発電エネルギーを生み出していたのだ。
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さらに地下につながる変則的な梯子を降りる。この後、悪魔の手招きは嘘ではなかったことを知る。
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さぁ、降りた。
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思わず一瞬身がすくむ。
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実は、水を排出する巨大な二つの穴が目のようにこちらを見つめていたのだ。まさに悪魔のように。
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ここから発電所本体建屋を目指し、僅かな情報を便りに山の急斜面を探し回った。まさに冒険だった。
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やっと、着いたぁ~!建築美、構造美、そして廃墟美。ここは、そのどれもが存在する場所だった!!
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この円形の穴の底は深い。以前はタービンの動力を発電機に伝える中継地点だったのだ。
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ここはもはや白亜の神殿だ。白い壁に巨大な窓から差し込む光が神々しい。
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天井は見事に曲線を描き、丁寧に作られているのが分かる。発電所という用途には関係のない細部への意匠が堪らなく好き。
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自分がこの特別な場所にいることに、震えるほどの深い感動を覚える。
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世の中にはまだまだ凄い廃墟が残っているんだと思った。この日の夜は興奮で寝付けなかったのを覚えている。だいぶ昔の思い出である。
提供:廃墟遺構空撮
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