木造平屋建ての繊維工場で、大正~昭和の建築と推測される。2005年頃から不使用になったと推測される。
…。
一歩遅かった。既に解体が進んでいた。
きっと美しく朽ちていたのだろう。廃墟探索の辛いところだが、なんとか気持ちを持ち直す。
廃の世界に不釣り合いな真っ白いホース。やっと日の目を見た消火ホース。君も辛いよね。
うんうん、少し傾いた郵便ポスト。
ため息が出る。悔しさではなく、静謐なる美しさを前に感嘆しているのだ。
後にわかったことだが、ここは最初は伝染病の隔離病棟だったらしい。閉院後に繊維工場に買い取られたという。
内部もだいぶ片付けられ、当時の面影は見当たらない。
電気系統だろうか。
浴槽だ。いつからあるのだろう。話せたら色々聞かせてくれそうだ。
建物が緑で覆われたことにより、トイレもアート化している。
外は鬱蒼とした竹林。
敷地は広い。関連する建物も他にあったようだ。
周囲を巡ってみよう。
惚れ惚れする大樹だ。建物を解体した後は、どうするのだろう。
裏手から入る。途中井戸も見つけた。
ここも一期一会。しずしずと通り抜ける。
もし郵便物が残っていたら届けてあげよう。
しかし中は空っぽだった。
隔離病棟から奇跡的に繊維工場へ転身し、現在まで残るに至った貴重な建物。時代の流れには逆らえず姿を消してゆく。
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